それから人質の俺達は軟禁状態で暇を弄ばせていた。
一室に電気が点き、外はスッカリ闇夜で満ちている。
踏み台があれば覗き込めそうな窓を見上げれば、半月が雲の間からそっと此方を見ていた。
なあ、お月さんお月さん、俺達を助けてはくれないか?
心の中で訴えてみるけど、無理だというように雲に姿を隠しちまう。
ですよね、人間の問題は人間で解決しろって話っすよね。
腹が鳴き始める、喉の渇きも覚えてきた。
一体今は何時だろう?
俺の疑問に先輩は腕時計を左手首にしていると主張。
ちょいと先輩の背後を失礼して、腕時計を覗き込む。10時を回っていた。腹も減る筈だ。
母さん達、今、何をしているのだろう?
お金を掻き集めてくれてたりするのかな。俺達は助かるのかな。
あんまりネガティブには考えたくないけど。
部屋の隅で壁に凭れ、寄り添って肩を並べる俺達は口を閉ざして時間が経過するのを肌で感じる他なかった。
俺が不安を感じているように、先輩も不安を感じているのだろう。
醸し出す雰囲気でなんとなく分かる。
でも、何も言わない。
指摘したところで両者の不安を煽るだけだから。
刻一刻流れる時の中、俺達は目でコンタクトを取って各々体重を掛けるように体を寄せ合う。
精神的に疲労しているみたいだから、心身回復するために仮眠を取った方が良いと思ったんだ。
視線を交わせば、「寝にくいっすね」「ほんとにな」微苦笑をひとつ。
後ろじゃなく、前で手を縛ってくれたら良かったのに。足が自由なのが幸いだ。
そっと瞼を下ろす。
当たり前だけど眠気は襲ってこなかった。
でも何かしら休息は取らないと俺達の方が持たない。
と。
程なくして足音がこつこつこつ、複数の聞こえた。
俺と同じように片目を開ける先輩は、目でこれまた訴えてくる。寝た振りだと。
了解だとばかりに頷いて、俺は再び瞼を下ろした。狸寝入りは得意な方だ。
ギィイイ。
軋む錆びた鉄扉の開閉音と、「寝てらぁ」誰かの皮肉。
さっき俺をコテンパンのフライパンに痛めつけてくれた眼鏡オッサンの声のようだ。
お仲間達とやって来たみたいだけど、俺達を起こす気はないらしい。向こうで会話が聞こえる。
固唾を呑んで耳をダンボにした。



