『そ、空さんっ……!』
携帯から聞こえてくるのは母さんの声。
パニックになった金切り声が小さな機具から絶え間なく漏れている。
母さんにも大丈夫って言わないと、言わないと……嗚呼、だけど声にならない。
暴行のせいで俺の口から出るのは悲鳴バッカだ。大丈夫と言いたいのに。
ふっと痛みが消えて俺は肩で息をする。
荒呼吸を繰り返す俺の傍で、スキンヘッドオッサンが「どうだった?」鬼畜な問いかけをしやがった。
性悪め。
同じ人間として、その人格を疑うぞ。
ユカイそうに笑うスキンヘッドオッサンは、もう一度息子の声が聞きたいだろ? 今度は普通に聞かせてやるよ、と携帯を俺の耳に押し付けてきた。
聞こえてきたのは父さんの声。代わったんだろう、向こうで母さんのパニクッた声が聞こえる。
ああ、二人とも、本当はまだ仕事だろうに。ごめん。
『空、聞こえるか! 空!』
「とー……さん。ん、聞こえる……俺、大丈夫だから。母さんにもそう伝えて」
『っ、空。すぐに『裕作さんっ、代わって下さい! 空さん、聞こえますか?! ご無事なんですね?!』
「大丈夫」
俺は精一杯の強がりと一笑を零してみせた。
これ以上、父さん、母さんの悲痛な声を聞きたくない。
「ということだ。無事は確認したな?」
スキンヘッドオッサンは上体を起こして立ち上がると、さっさと金を用意するよう催促する。
おバカ、我が家にはな一千万どころか、百万も厳しいんだからな。
心中でツッコむ俺を余所に、「あまり遅いようだと」スキンヘッドオッサンがジャケットの懐に手を入れる。
先輩の悲鳴と、オッサンの行動、どっちがはやかっただろう。
ガウン―!
鼓膜が破れるんじゃないかというほどの爆音に、漂う硝煙。
俺の顔横数十cm先に弾丸が飛んでさすがに絶句せざるを得ない。
に、ににに日本は銃刀法違反っつーのがあってだな、銃の所持・使用は法律上禁じられているんじゃっ……一部の人しか所持っ、それこそ警察とかしか持っちゃいけないんじゃ。
こ、ここここ怖いんだけどっ、どっから手に入れたんだよそれ!



