「エビくんよ。俺は男女のポジションを逆転されそうになっている上に、相手は『王子』『俺様』『鬼畜』その他諸々教育上に宜しくないことに憧れている肉食系女子に襲われかけているのですが。君が俺の立場なら逃げないとでも?」
「……あーゴッホン。少しは距離を置く必要もあるよね」
「おいおい笹野」
咳払いするエビくんにアジくんは呆れ返りながら肩を竦める。
そして俺にこんなことを言ってきた。
「男女のポジションを逆転されるのが嫌なんだろ? じゃ、お前が肉食系男子になればいいんだ」
「お、俺が肉食系男子に?!」
肉食系男子ってどんなんだ。
よくテレビで耳にするけど、実際どんなのかイマイチ想像が。
あれか? がっつく系? 肉食系って考えてまず思い付くのは、あー、やっぱり鈴理先輩かなぁ。
あの人、自分で肉食と言っていたし。
つまり鈴理先輩のようになれば良いのか?
押せ押せ攻め攻めになれば肉食系男子ってことだよな。
だけど、相手は鈴理先輩だぞ。
逃げてしまう俺だ、先輩相手に対して肉食に生まれ変われるんだろうか。
うんぬん思い悩んでいるとアジくんがニカッと男前に笑った。
「そうやって空みたいに悩むこと、なんて言うか知っているか? 恋煩いっつーんだよ」
「こ、恋煩い」
「そーそーっ、恋煩い。だって何だかんだ言って空は先輩を意識しているみたいだし。竹之内先輩を意識している時点で、しかも嫌悪していない時点で空の運命って決まっていたんじゃないか。
竹之内先輩がどうしてお前のことを好きだなんて俺は知らないけど、先輩はお前が良いんだって言っているし、キスだってしているし、男女の営みがしたいからって追い駆け回している。
理由を付けて逃げていないで、まずは自分の気持ちを知るために付き合うってのも手だと思う。
お互いが恋に落ちて恋人、だけが恋愛じゃないだろ?色んな恋愛があってこそ、恋愛って面白いと思うぜ」



