『リボンもあるんだぞ。後で画像にして送ってやる』
携帯向こうではしゃぐ先輩の声で、俺と両親の間で長い沈黙が流れた。
先輩、俺と両親の仲を応援してくれているんっすよね? ちょっと疑っちまったんっすけど。
閑話休題。
こんなハプニングはあったものの、俺は結局前のように両親と接することができず、居間で晩酌している父さんと母さんに挨拶して、逃げるように床に就いた。
悪いとは思ったけど、今の俺にはこれ以上、両親と上手く会話を広げられる自信がなかったんだ。
居間に背を向けて眠気を待つこと一時間と数余十分。
ふと両親の会話が耳に飛び込んできた。
俺が寝た前提での会話だろう。
話題は息子の話題だった。
「空にも反抗期が来たのかもしれないな、久仁子。あの口数の少なさには驚くよ」
「男の子ですから。反抗期という反抗期が来てませんものね。いつも聞き分けが良かったですから」
違う、俺は……反抗したいわけじゃないんだ。
ただ。
「もう、空を引き取って11年か。立派に成長してくれたよ。少しケチなところもあるけど、努力家だしな。死んだ兄さんにも顔合わせできる」
「ええ、本当に」
俺は布団を深く被った。
今は二人の親馬鹿話でさえ、辛く胸に沁みる。
ごめん、父さん、母さん。
俺は二人が自慢してくれるほどの息子じゃない。ないんだ。



