前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



でも露骨に違うなんて否定はできなかった。肯定もできないけど。

意識はしていると思う。

だからって、それが好きかどうかは別個の問題だと思うんだ。

そりゃ意識はしているよ、素直に認める。


意識しているから午後の授業が災難続きだったんだ。

苦虫を噛み潰した顔を作る俺に、「おめでとう」エビくんが祝いの言葉を向けてきた。


「これで晴れて恋人同士だね。これからが楽しみだよ」

「笹野と話していたんだ。空が押し倒されておめでとさんになるのは、あとどれくらいかなーって」


こ、こいつ等。

人の置かれた状況をゲーム感覚で楽しみやがって。

俺は顔を引き攣らせながら二人に言ってやる。

自分達は恋人になっていない、と。


「もうなったも同然じゃないか」


アジくんにからかい混じりに言われた。

「何を今更迷っているの」

エビくんには鼻で笑われるし。


何だよ、俺を気遣ってくれたんじゃないのかよ。

不貞腐れながらも俺は二人に吐露した。なれるわけないじゃないか。


「身分が違うんだから。向こうはお金持ちお嬢様、こっちは貧乏一般人。どう見ても釣り合えるわけない」


鈴理先輩はああ言ったけどさ、やっぱり金による身分はある。

財閥の令嬢が一般人、しかも貧乏人と付き合うなんて、本当にそうなったら問題も出るだろ。

貧乏が恥ずかしいなんて思わない。同情してくれとも思わない。

貧乏でも胸張れ! それが我が豊福家の家訓だ。

恥ずかしいなんて一切思わない。


でも、やっぱなぁ、付き合うとなると話は違ってくるよな。


「じゃあ空、身分なしで考えた場合、どうなんだ?」

「身分なしで?」


俺はアジくんの言葉に目を瞠った。