前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



そして待ち望んだ日曜日。

両親は約束どおり、休日に仕事を一切入れず、叔父さん叔母さんも十時過ぎに我が家に遊びに来た。


嬉しくて嬉しくて俺は両親に早く行こうと駄々を捏ねたんだけど、叔父叔母と話している両親はなかなか俺の訴えを聞いてくれない。


和気藹々と大人同士でなにやら話している模様。


完全に蚊帳の外に出された俺はむくれて、


「先に公園行くからね」


小声で親に断りを入れて玄関で靴を履き、そのまま外へ。


よたよたとコンクリートで固められた階段を下りて、アパートを出ると大通りに向かった。


公園まで目と鼻の先。

幼い俺でも憶えられる道だったから迷子になることもなく、俺は横断歩道を渡って公園に到着。


大好きなジャングルジムに上って、早く皆来ないかな、なーんて思っていた。



ほどなくして、横断歩道向こうに両親と叔父叔母の姿を見つける。



やっときてくれた。

俺は破顔して「早くはやく」両親を手招き。

向こうは勝手な行動をした息子に文句を垂れつつ、すぐに行くからと横断歩道を渡り始めた。



なんてことのないやり取り。だった筈なのに。



なんで次の瞬間、曲がり角を曲がってきた大型トラックが両親を跳ね飛ばしたのか。悲鳴、ブレーキ音、そして瞠目する人々。


「お父さん? お母さん?」


俺はいても立ってもいられず、二人の下に駆け寄ろうとした。したんだ。




そしたらバランスを崩して――「空。そら、大丈夫か?」



がくんがくんと体を揺すられ、ハッと目を開ける。


何が今、起こったんだろう。

目を白黒させる俺は顔を覗き込んでくる女性を一点に見つめて、呼吸を乱していた。



あれ、此処は一体……あ、そうか俺、保健室で寝てたんだっけ。


ベッドを囲むようにカーテンが仕切られている。

大丈夫かと声を掛けてくれるのは鈴理先輩。


いつの間に傍にいてくれたんだろう?

彼女は文庫を片手に俺の顔を覗き込んで、額に手を当ててきた。