嗚呼、本当にガクガク体が震えてやんの。大丈夫だと言い聞かせないといけないのに、体が悲鳴を上げているように震えている。
無意識に相手の腕を掴んで俺は目を瞑る。
変に汗が出てばっか。
口内が渇き切っている。
喉が焼け付いてる感じ。
これも高所恐怖症のせいなのかな。
「やっぱ保健室だ。ちっと寝た方がいい」
大雅先輩に言われて俺は瞼を持ち上げた。
相手を一瞥して迷う素振りを見せる。
こんなことで体調を崩して保健室に行くの、マジで嫌なんだけど。ダサい。
「テメェな。素直に言うこと聞かないなら、犯しちまうぞ」
……ドン引きっす大雅先輩。
前にもそれ言われたことあるっすけど、もっと別の言い方にしてくれませんかね? 誤解を招きそうな台詞っすよ。
反論しようと口を開いた時、「まあ!」素っ頓狂な声が聞こえた。
まあこのお声は誰の?
首を捻れば、階段を上ろうとしていた宇津木先輩と川島先輩。
「まあまあま」
声を上げまくっている宇津木先輩は、薔薇色オーラを醸し出してうっとりとこっちを見てきた。
隣にいた川島先輩はしーらないとばかりに口笛を吹いて、頭の上で腕を組んでいる。
川島先輩の反応にも疑問だけど、なんで宇津木先輩は薔薇色オーラを醸し出しているんだ?
大雅先輩は大雅先輩でしまった顔を作っているという。
「大雅さん、それはいけませんわ。まあまあまあまあ、鈴理さんになんて弁解をするおつもり? でも、でも、でもちょっと萌えてくる展開でもっ、ああっ、どうしましょう早苗さん。これはスクープですわ」
「おい、百合子。お得意の妄想で俺達にひっでーことをしているんじゃねえだろうな? お前はいつも、俺と兄貴でくっ付けさせるだろ!」
ということは、俺は大雅先輩とあらやだぁな関係で見られて?
確か宇津木先輩って腐女子だって言っていたな。
だ、大丈夫、たとえ大雅先輩にそっちの気があろうと俺は鈴理先輩が好きだから!
いや、そういう嗜好を蔑むわけじゃないけれど、でも女の子を愛したいのが俺の心情でして!
……鈴理先輩には受け男妄想をされ、宇津木先輩には残念な妄想をされ、俺は幾つ妄想をされたらいいのだろうか。
そして、何より哀れなのは大雅先輩。
好きな女の子にやっだぁな妄想をされているなんて。



