俺はゆっくりとジャングルジムから下りて、振り返らず大通りに向かう。
事故現場だった横断歩道を渡って大回りしながら停留場へ。
時刻表を見る間もなく、バスが来たから俺はそれに乗り込んで最後尾の左窓側の席を陣取った。
乗客は疎ら、買い物帰りの主婦や塾に向かうであろう学生がちらほら、ちらほら。
力なく窓枠に肘を掛けて、俺はネオンが散りばめられた夜景に視線を流す。
――空、約束。今度の日曜日、お父さんやお母さんと一緒に公園で遊びましょう。
バスが停まった。
信号待ちらしい。扉が開くこともなく、乗客が乗り込む気配もない。
――だから、ね。今日のお出掛けは我慢してくれる? 楽しみにしていたのは知っていたんだけどお父さんがお仕事になって。
発進するバス、俺の体がぐらっと揺れた。
俺は目を伏せて静かに窓枠に凭れ掛かる。
大型車特有のエンジン音をBGMにしながら、ゆらゆらと揺れる車内のゆりかごをいつまでも感じる。
――公園で遊んだ後、ハンバーグ食べに行きましょう。
「母さん、父さん」
――今度は約束する、絶対に約束するわ。ね、空。



