「好きだから許せるんだと思う」
俺の返答に、「ノロケごちそーさまです」イチゴくんがまた新しい笑声を上げた。
照れちまったけど、ノロケには違いないから俺も一緒に笑っておく。
それだけ俺は先輩の事が好きなんだ。
彼女の目論見どおり、俺はもう落ちちまっているんだよ、きっと。
CDショップを出た後、俺はイチゴくんに連れ回されてゲームショップや本屋、スーパーなんかに足を運んだ。
単なる暇潰しだって分かっていたけど、イチゴくんと話していて楽しかったし、なんだか街並みそのものがほんの少しだけ懐かしい気がしたから、俺自身もこの時間を手放したくなかったのかもしれない。
「こうしていると懐かしいな」
おかしいな、全然憶えてないのにそう思うなんて、イチゴくんの笑みに笑みを返す。俺も同じ気持ちだよ、イチゴくん。
日が暮れてしまうまで大通りを歩いた俺は、そろそろ帰ることを相手に伝える。
向こうも帰る気だったんだろう。
バス停まで送ると申し出てくれる。
距離的にイチゴくんの住むアパートの方が近かったから、俺はその申し出を断って、一緒にアパートまで行くと再申し出。
受理してくれたイチゴくんとアパート前まで和気藹々と話しながら、時間を過ごした。
アパート前に着くとイチゴくんはちょっと物足りなさそうな顔をして、「また来いよ」と照れくさそうにポツポツ。
「折角メアド交換したんだし、またこっちに来て遊ぼうぜ」
「うん、絶対に来るよ。イチゴくんもさ、俺の地元も案内するからこっちに来てな」
「絶対行く」笑うイチゴくんは、それじゃっと手を挙げる。
彼の背中を見送る別れ際、俺はイチゴくんに聞いた。この近くに公園ある? っと。
階段の段に足を掛けていたイチゴくんは不思議そうに動きを止めて、首を捻ってくる。
「公園? んー、五分くらい歩いた先にあるけど、案内しようか?」
「ううん。教えてくれるだけでいいんだ。方角はどっち?」
「バス停を向かう坂道をのぼる前に、右折する道があるんだ。そこを曲がって真っ直ぐ歩けばすぐ。大通り側から行く道もあったんだけど、マンションが建っちまって。あそこは近道だったのになぁ。
ま、分からなかったら携帯に連絡くれよ、迎えに行ってやるから」



