「どうしたんっすか? 突然」
『うむ、聞け空。あたしは今、華道の休憩時間に入っているのだが……習い事最中にふっと思ったのだよ。迎える夏の季節に浴衣を着させたい、と。
無論誰が着るかは謂わずもだろ?
何故浴衣に行き着いたかというと華道をする際、あたしは着物を着るわけなのだが……一度空の和服姿も見たいと思ったわけだ。
しかし最初から着物を着ろというと空は恐縮するだろうからな。浴衣にしようと思ったわけだ。夏には夏祭りもあるしな!』
「……習い事に集中して下さい」
指導している師範が哀れじゃないっすか。
『で、だ空。あたしが悩んでいるのは浴衣の柄なんだ。一応あんたの好みを聞こうと思う。蝶に金魚、朝顔、どれもあんたに似合いそうな柄なんだが、あたしとしては色気のありそうな花柄が良いと思うんだ』
「あの先輩、男物の前提で話を進めていますよね?」
『勿論女物だ。問題でもあるのか?』
大有りっすよ、俺、生物学上は男なんですけど。
「男物がいいっす」
俺の申し出を、『却下だ、可愛さが半減するだろ』こうのたまってことごとく否定して下さる。
女物を俺が着たら可愛さ半減どころか、キモさ増大なんっすけど。
「俺が着ても似合わないと思いますよ」
『馬鹿を言うんじゃない空。何故、着る前から消極的発言をする? 着てみないと分からないではないか!
いいか、何事も経験してみないと分からないものだ。食わず嫌いならぬ着らず嫌いでどうする。
それに似合う似合わないはあんたが決めることではなく、あたしが決めることだ! 空の浴衣姿、カッコ女物カッコ閉じる、素晴らしいではないか! 想像するだけで襲いたくなるぞ。
浴衣だと脱がしやすいし、色気も格段にアップして、これまた興奮すると思うのだが。あたしが着ろといえば着る。
空、これは決定事項だ。いいな、浴衣は絶対に着ろよ!
おっと……休憩時間が終わる。
ということで空、浴衣のチョイスはあたしがするから心配するな。可愛くエロイ浴衣を探してやるから!
では、またな。
どうやら向こうの音を聞く限り、外出しているようだが、くれぐれも女に襲われないようにしろよ。
空は良い体躯をしているからな。特に腰辺りがエロイのなんのって。
今度こそ、じゃあな。
また電話するから――ブッツン、プーップーップー』
切れちまった。



