俺は咳払いをして気を落ち着かせると、静かに先輩と向き合う。
彼女から貰ったオムライスを口に入れながら(嗚呼、オムライスが美味い。美味過ぎる)、おずおずと話を切り出した。
「好きと言ってくれるのは嬉しいんですけど」
「付き合う返事はハイかイエスだ。空」
選択肢がねぇんですけど、それ。
「俺、先輩とは不釣合いっすよ。庶民の中でも貧乏ですし。先輩は有名な財閥のお嬢様でしょう? 別に貧乏が恥ずかしいとは思いませんけど、釣り合えるとは思えません」
「何だ、そんなことを不安に思っていたのか?」
どうってことない問題だと先輩が肩を竦めた。
「だって先輩は財閥のご令嬢ですよ? 俺なんかが釣り合えるなんて……弁当だって見たでしょ? 落胆するびん」
言い終わるか終わらないか、最中で顎を掬い取られて口を塞がれた。
瞠目する俺に対し、先輩は上唇と下唇を舐め取って俺と視線を合わせる。
交わる視線は限りなく柔らかかった。



