前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




「折角の再会なんだし、翼、空ちゃんとお話しでもしたら?」


とか言われて、ブレザーを脱ぐ翼さんは「はあ?」うざったそうに突っ返した。


き、き、気まずいんだけど花畑さん。

そういう気遣いされても、当事者同士気まずいだけっす。


だって憶えてないんだっ、俺等が仲良くしていたことなんて。


台所に立つ花畑さんを余所に、翼さんは向かい側に着席。

気まずそうにテーブルに頬杖をついて窓を眺めている。


対して俺はダンマリ珈琲をごくごく。両者沈黙が流れる。


どうしよう、すこぶる気まずい。

原因は招かざる客人の俺だとしても、これは気まずい、気まずいぞ。


「……エレガンス学院の生徒なんだな」


翼さんが話題を切り出してきた。制服を見て判断してきたんだろうな。


「え、うん」


俺は愛想笑いを浮かべて頷く。

「じゃあ頭はいいんだろうな、しかも金持ち校だろあそこ」

ちょい皮肉交じりに言われたけど、気にすることなく会話を繋げようと躍起になる。


「お金持ちじゃない人も行きますよ。俺もそうですから」


向こうは興味無さそうに相槌を打つだけ。

うっわ、俺、本当にこの人と仲良かったのか? 会話し辛い。


「金持ちじゃねえ、か。俺の友達で、エレガンス学院に通っている一般人がいる。そいつの話曰く、確かに苦労している人間もいるみたいだよな。弁当の中身が悲惨な奴がいて、おかずを恵んでやったって言っていたし。まあお前には関係ない話だろうけど」


「はあ。世の中には大変な人もいるんですね。俺もおかずを恵んでもらった口なんで、なんとも言えないんですが」


おかげで今のフライト兄弟がいるんだけどさ。


「そいつ、イチゴミルクオレを奢るだけで感動するらしいぜ。たかだか80円のパックで大感動らしいぞ」

「80円もするイチゴミルクオレを奢ってもらえる。そりゃもう、感激も感激じゃないですか。滅多なことじゃ飲めないなら尚更かと。俺なら大感激ですよ!」


「時々ノートがチラシの裏で代用されているらしい」

「俺もしますします。究極にお金がなくてノートが買えなくなった時にチラシが活躍するんですよ。意外と書くスペースあるんですよねぇチラシ」


「……学食堂のメシが食いきれなくて持ち帰ろうとしたとか」

「その人と気が合いそうです。俺も持ち帰ろうとしたんですよ。だってお金払ってるんですよ。そこに置いて行くなんて勿体無いじゃないですか!」