前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




「何故、空が良いか。それを問われると一口に説明し辛いが、簡略的に言えばあんたが好きだからだ。空が好きなことに理由などいるか? あたしはあんたが気に入った。他の男子には感じないトキメキを覚えた。今もトキメキを感じているぞ。
だからあんたを好きだと発言する。キスも求めるし、性交も求める。あんたが好き、それ以上も以下もない。理屈などないのだ」


あんたが好きだから求めるのだと鈴理先輩。

真摯に見つめられると、返す言葉を失う。

令嬢の気まぐれで俺を翻弄しているからじゃなさそうだ。


「空は何が不服だ? あたしの外貌か? それとも完璧過ぎるボディか? ……まさか経験済みか? 実は彼女がいるとか? あたしの所有物のクセにそれは許し難いことだぞ、空」

「お、俺と先輩は付き合ってないじゃないっすか! それに俺は彼女なんてデキたことありません。先輩にファースト、セカンド、サード、それ以降のキス、全部奪われましたよ」


キスの数なんて既に忘れてしまった。

毎日のように襲われかけているんだ。数えている暇なんてない。


「じゃあ良いではないか。体育館倉庫で初セックスというシチュエーションが嫌か? 今流行りのケータイ小説ではありがちで燃えるパターンなんだがな。仕方が無い。空き教室にするか。放課後、空いている人気の無さそうな空き教室は」

「あー、多分視聴覚室あたりが人気が無さそう。って、そうじゃなくって! 俺が言いたいのは!」


「何だ、もしかして無理やり押し倒されるシチュエーションが好きか? よく言うよな。“イヤヨイヤヨも好きのうち”だと。
なるほど、空は鬼畜系が好きなんだな。それならそうと言え。あたしも丁度、そういう話を読んで鬼畜への興味が」


「誰もそんなこと言ってないですから!」

「では何だ?」

キョトンとしている鈴理先輩に俺はガックリと項垂れた。


駄目だ、この人とまともな言葉のキャッチボールができた例(ためし)がない。

どう話しても流れは性交に持っていかれる。

うかうかしていると真面目に食われる。食われちまうぞ。貞操の危機だぞ。


何か逃げる手、手はないのか。何か手は。


……ハッ、そうだ。先輩は金持ちじゃないか。俺とは不釣合いだぞ、それをぶつけてやればいいんだ!