「大体、今どきの男は草食系が多いのだ。彼女など持たずともいいと思う男が増えている。そんな男どもに不満を抱く女は多いだろう。
だから女は変わらなければならない! 諸君、今の男どもは受け身だ! そんな男を変えることは困難。
ならば自分を変えるしかない! 男が欲しいなら肉食の如く襲え! 押し倒せ! 自分の尻に敷いてしまえ! これからは女子の時代、攻めの主権はあたし達にあるのだ!」
「あの、先輩。誰に訴えているんっすか?」
「無論、世の中の女性だ。男が動いてくれると信じてやまない健気な女を見ると、あたしはむしゃくしゃする。受け受けしい女ばかりが溢れている世の中ではない。欲しいなら、何故男を食らう勢いで奪おうとしない?」
世の中の女性が先輩のように物騒な女の子になったら、世の男性の皆様は泣きますよ。号泣ものですよ。
かくして誰でも利用可な学食堂で攻め講義を説いてくれた鈴理先輩のせいで、俺達のテーブルは周囲に大注目。
素知らぬ振りをしているようで、無数の眼がこちらをチラ見している。
「あれって噂の二人だよね」
ヒソヒソ声が耳に飛び込んできた時の居た堪れなさと言ったらない。
嗚呼もう俺達、ただでさえ噂になっているのに、こんなところで不謹慎な言葉を言うんだから!
「せ、先輩の主張したいことは分かりました。
だけど、俺じゃなくても良いじゃないっすか。先輩は美人さんなんっすから、男なんて選り取り見取りでしょ。
貴方の美貌をもってすれば、靡かない男なんていないと思いますし」
「確かにな」
いそいそと椅子に腰を下ろした鈴理先輩は腕を組んで相槌を打つ。
自分の容姿に対する自覚もあれば、男が向けてくる熱い視線も感じている。
深々と語る先輩に俺は引き攣り笑い。
そこは素直に認めるんだ。
「しかしあたしは誰でもない、空がいいのだ。でなければ誰が好き好んで公共の場でキスや不謹慎な発言などするものか」
あ、自分のふしだらな挙動に自覚はもっていらっしゃるんですね。



