「先輩、テレビ電話ってどうするんっすか? テレビと電話って一緒になっているもんなんっすか?」
「ふふっ、ほんとに空は機械音痴だな。だからこうして」
只今、車内で俺は携帯の講義を受けている。
先輩が今日テレビ電話を掛けてみるから取ってくれと言うんだけど、俺からしたらテレビ電話? なんじゃらほいそれ? って気分だ。
電話しながらテレビが観られるのか、それともテレビを観ながら電話ができるのか、機械にチンプンカンプンな俺は首を傾げるばかり。
そんな俺を笑って、先輩はテレビ電話の意味を教えてくれる。
なるほど、相手の顔を見ながら電話できるってわけか。
先輩曰く、今日の夜は空の顔が見て電話をしたいらしい(多分寂しいからだろうな。明日も会うというのに)。
はー、今の携帯はそんなこともできるんだな。感心感心。
「空。ジジくさい台詞だぞ」
先輩にまた笑われて、俺は仕方がないじゃないですか、と脹れ面になった。
マジで機械わっかんねぇんだもん。
「とにかくテレビ電話掛けてみるから」
先輩は絶対取れよ、と俺にプレッシャーを掛けてくる。
そんなこと言ったって、なあ。
取れるかどうかは分からないけど、努力はするよ、努力は。
携帯を閉じて窓際に置いた俺は「取り敢えず頑張ります」と苦笑い。
「できなかったら仕置きだぞ」
なーんて脅してくるもんだから、マジ勘弁だ! ほんっと仕置きとかそういう台詞好きなんだから。
しかも仕置きの意味合いが大体不謹慎なもんだから、はぁあ、先が思いやれるな。
携帯の講義が終わり、他愛もない話題で和気藹々と会話していた俺は運転手の田中さんに声を掛けられて顔を上げる。
俺のアパート前が窓向こうに見えた。到着のようだ。
鞄を肩に掛けた俺は下車して、
「お世話になりました」
先輩と運転手の田中さんに頭を下げる。
またお邪魔しますから、先輩に綻べば、「当たり前だ」絶対に来い、と命令口調。



