「腹いっぱい食ったら、体育館倉庫でヤろうな」
俺は固まった。見事に固まった。
ぎこちなく先輩を見やればシニカルに笑う女性一匹。
「腹が減っては戦ができぬ、というやつだ。しっかり蓄えとけよ」
「え?」
「何、昼食の礼はいらない。体で払ってくれたらそれで」
「なッ……じゃあこれっ」
「言ったろ? あたしのしたいようにした、と。恩はしっかり返そうな、空」
は、は、は、はめられた。
クッ、まさかこんな形で貞操の危機が訪れようとは!
折角先輩の好感度が上がり、人知れず彼女のやさしさに胸を躍らせていたのに。
これは策略だったのですね。
先輩、恐ろしい子。油断ならない子!
「じゃ、じゃあ、これはお返します。まだちょっとしか食べていません」
弁当箱を返そうとするも、却下だと鈴理先輩。
「人から貰った物を返すというのは道理に反していると思うが? そしてあんたのもやし炒めの半分はあたしの物だ。無論、あんたもあたしの所有物。好きにして何が悪い」
出た、あたし様!
ああもう、どの口が道理なんて言っているんだい?!
「嵌める先輩もどうかと思うっす」
「嵌めるとは人聞きの悪い。あたしは本能に忠実なだけだ。あたしはあんたとセックスがしたい。ただそれだけのこと。
どれだけオアズケをさせられていると思っているんだ。攻め女の忍耐もそろそろ切れてしまいそうだ。
いいか、空。
今のあたしは美味そうな肉を目の前にオアズケさせられている肉食動物なのだよ!」
テーブルを叩いて立ち上がる鈴理先輩は、それは、それはお行儀が悪いことに椅子に足を掛けて熱弁。
ググッと握り拳を作り、
「これからは女が主導権を握る時代だ」
男だけがエロイエロイエロイ……そんな戯言を言う時代は終わった。女だって実はヤラシイ生き物。これからは女も攻めていかなければ、と物騒なことを唱えている。



