カッチカッチカッチ、こっくりこっくり。
カッチカッチカッチ、こっくりこっくり。
カッチカッチカッチ、こっくりこっくり……くしゅん。
自分のくしゃみに俺は遠退いていた意識を浮上させる。
やっべぇ、マージ眠いんだけど今何時だろう?
えーっと時計……あ、向こうに掛け時計がある。
4時半。
嘘だろ。
どんだけ四隅を陣取っているんだよ俺達。
硬いところに座っているせいか腰が痛いんだけど。
ついでに腕も重いや。先輩が散々暴れてくれたせいで、ずーっと腕に力を入れなきゃいけなかったから。
ノロノロと視線を下げる。
そこには俺と同じように夢路を歩き始めている先輩の姿。
すっかり腕の中で大人しくしてくれちゃって……ま、習い事があったんだ。
お疲れなんだろうな。
俺だって執事のお仕事をさせられて超お疲れだよ。
先輩とめちゃめちゃ暴れまわったし。
「先輩、寝ましょうよ」
俺は相手に声を掛ける。
これじゃあセックスもヘチマも何もない。体力と眠気の限界だ。
「んー」
唸る先輩は折角のチャンスなのに、と欠伸を噛み締めつつ、渋々引き下がった。
先輩も散々暴れまわったせいか眠気が勝ったみたいだ。
こっくりこっくりと首を上下に動かし始める先輩に思わず一笑。
起こさないように態勢を変えて、膝裏に手を入れる。
どっこいしょ、の掛け声で腰を上げた俺は腰に鈍い痛みを感じつつ、先輩の意識がハッキリしていたらすこぶる嫌がるであろう姫様抱っこでベッドに歩んだ。
女の子を初めて姫様抱っこしたな。
いつも俺はされる側だったし。はは、情けねぇ。
(やっぱり人間の体って重いんだけど……先輩の腕力の怖さを知ったような)
先輩が重い、というより人間の体は重いと声を大にして主張したい。
こんなにも小柄な体躯に、俺はいつも攻められているんだな。
改めて見下ろすと不思議な感じ。
他愛もないことを思いながらベッドに先輩を寝かせて、静かに布団を掛ける。
聞こえるか聞こえないかの寝息を立てて、身を丸める先輩を一瞥した後、俺は一旦電気を消すために部屋の出入り口へと向かう。



