完全に思考停止(プラス混乱)になっている俺は、取り敢えずロールキャベツ系男子っぽく台詞を吐いてみることにした。
「先輩、実は俺、貴方をずっとこうしたかったんすよ。やっぱ俺、男みたいっす。こうして攻めたい。貴方を鳴かせたい」
にっこり、満面の笑みを浮かべて、その手首を掴み、先輩を見下ろす。
ポカーンとしている先輩は一向に反応を見せない。
「あたしを鳴かせたいのか?」
やっと口を開く彼女に頷いて、
「シちゃっていいっすよね? 風呂の時から、我慢できなかったっす。言ったっすよね? 発情したらどうするんっすかって。俺もやっぱり男だったんですよ、鈴理先輩」
先輩に微笑を向けた後、俺は彼女のネグリジェに手を伸ばす―……振りをして、よしよしと頭を撫でた。
これまた先輩がぽかん顔で俺を見上げてくるけど、俺は構わずよしよし。
ついで、「あ、用事を思い出したんで」ポンッと手を叩いて素早く彼女から退くと、颯爽とソファーの後ろへ移動。そこに腰を下ろした後、一呼吸。
で。
(うわぁわあああああああっ、俺のオバカァアアアア! 事故でも先輩を押し倒した俺のおばかぁあああああ!)
悲鳴にならない内なる悲鳴を上げて、激しく身悶え。後悔。羞恥。を噛み締めることになった。
まさかまさかまさか、先輩を事故でも押し倒してしまうなんて。
彼女に見上げられた時のショックと言ったらぁ……押し倒すなんて大それたことをする予定、これっぽっちもなかったのに。
事故だとしても彼女を押し倒した。
しかも阿呆な台詞を吐いた。鳴かせたいってなんだよ。鳴かせたいって。
幾ら混乱していたからとはいえロールキャベツ系男子になれるかな? なーんて、安易に思った俺が馬鹿だった!
攻めたい? ベラボウのちくしょう、攻める勇気もないよ。攻められる勇気もないけど。
なんかもう、泣きたいくらい情けないぞ。
馬鹿みたいに緊張はするし、変な事は口走るし、事故るし。風呂から上がって、余計先輩のこと、意識しちまっている俺がいるから……またなんか感情処理が追いつかない。
深い溜息をついて、火照る顔を冷ますために顔を上げる。
視界の端に薄紅のネグリジェが見えて、俺は硬直した。
ぎこちなく視線を向ければ、しゃがんだままニコーッと俺を観察している先輩の姿。



