【先輩の自室にて】
改めて問おう。
青春とはなんぞやもし?
豊福アンサー。
俺の中の青春というものは爽やかで甘酸っぱく、ほろ苦いものだと決まっている。
例えば、サッカーマネージャーがサッカー部員に恋をしてやきもきする。
サッカー馬鹿には恋愛の「れ」も興味がなく、ひたすらボールとオトモダチになっているそいつに恋しちまって、どうすれば彼は振り返ってくれるのだろうと恋煩いを抱く。
やきもきした結果、彼が振り向かなくとも私は彼の事が好きなの。
ボールを追っているその背中が好きなの、と理解。
はてさて片恋を抱くマネージャーは、告白すらすることもなく、ただただ部員を想う……のだったのだが、しかーし!
いつしか彼の方から歩み寄ってくれるようになり、少しずつ自分に話し掛けてくるようになったではないか!
これは一体どうしたものか。
マネージャーは思う筈だ。
どうしよう、話し掛けられるだけで毎日がもう幸せ。
ああでも彼にもっと近付きたいわがままな私も……はぁ、溜息ね。
なーんちゃって。
甘酸っぱく爽やかでほろ苦い恋を経験するマネージャーのような青春を、俺は“青春”だと定義したい。
間違ったって、今の状況を青春だとは呼びたくない。
彼女に風呂場を襲撃され、あれよあれよと騒いだ挙句、興奮のし過ぎでのぼせてしまったとか……青春ではなく、ただのお笑い種だよ畜生。
ああああっ、思い出しただけでも動悸がやばくなる。死にそう。
先輩の谷間っ、今思い出しても色っぽかったなぁ……ああくそっ、俺なんて土に還ればいいんだよ。
「空、大丈夫か? アクエリ、飲めるか?」
ぐだぁっとソファーに凭れて座り込んでいる俺に、氷いっぱいのグラスを差し出してくる先輩は何度もうちわで風を送ってくれる。
「ヘーキっす」
力なく笑う俺はグラスを受け取って水分補給。
冷え切った液体が食道を凍らせる勢いで胃に滑り落ちていく。
一気に水分を飲んだ後、俺はグラスをテーブルに置いて再びソファーの背面に沈んだ。
まだ頭がくらくらしているよ。ちょい頭痛もしているし。
ははっ、情けねぇ。



