「鈴理さんが貴方様を好きになる理由、よく分かったわ」
「……へ?」
真衣さんは目元を和らげた。
「ふふっ、貴方様みたいな人、鈴理さんは大好きなのよ。なんていうのかしら。空さんは、環境にも屈しない強さを持っているわ。羨ましいくらいに」
「いや俺は」
「さてさて、そんな貴方様は今日、どんな肉食なお姿を鈴理さんに見せるのかしら。後日談が楽しみね」
「……え゛」
顔を引き攣らせる俺に、
「ロールキャベツなんでしょ?」
ポッと真衣さんが頬を赤らめる。
見た目は優男、中身は肉食ってあれっすよね、ロールキャベツ。
夕飯もロールキャベツでしたね、美味かったっす。ごちそーさまっす。
でも、俺は断じて先輩をごちそーさまする気はないっすよ。
さらさらないっすよ。
寧ろごちそーさまされそうで怖いんだけど。
「あのー」
別にそういうつもりは、言葉を濁す俺に、「お風呂ってそういう意味でしょう?」と聞かれてしまい、嗚呼、眩暈。
なんでそう思われちまうんだよ。
お風呂イコール準備ってか? そんなばーなな。
俺と先輩はまだ学生。
安易なセックスなんて許しませんよ、俺。
本気と言われても、困るんだけどさ。
「きっと空さまのことだから、『鈴理先輩。お待たせしました。今夜は長いですよ。寝かせてやりません』とか言って、強引に押し倒しっ、キャー! そんな、キャー!」
ケッタイ妄想をされて俺がキャー! そんな、キャー!
……真衣さん! なんて妄想するんっすか!
残念な事に俺は根っからの草食系男子っす。性
欲がないこともないっすけど、えっちぃより、一緒に仲良くおやすみなさいしたい健全な男子っす。
プラトニックラブ推奨している男っす。
そう訴えているのにも拘らず、真衣さんは両頬を包んで妄想を始める。
「まあ、そんな。空さまったら大胆。ああっ、どうしましょう」
ポッポと頬を赤らめて、わたわたと妄想に浸る真衣さんの暴走に俺は手が付けられなくなった。
もう、好きにして下さい。
どーせ俺、宇津木先輩と川島先輩で好き放題妄想されているんっすから、慣れています。慣れていますよ、妄想されることには。
(嗚呼、ほんっとこの人はまごうことなき、先輩のお姉さんだ。キャラが濃い)
ガックシ肩を落とす俺、豊福空だった。



