どことなく元気のない先輩を見たくなくって、「おかげ様でラブラブっすよね」と話題を振ってみる。
小っ恥ずかしい言葉だけど、元気付く言葉が他に見つからなかったんだ。
俺の言葉を聞いた先輩は途端にいつもの先輩に戻って、「当たり前だろう!」意気揚々と口を開く。
「あたしと空はそりゃあもう、熟読しているケータイ小説のカップルのようにラブラブだ。ヤることはある程度ヤっている。後はベッドインのみ。今宵が楽しみだな、空」
「お、お馬鹿! 先輩のお馬鹿! ご姉妹の前でナニ言っているんっすか! 俺と先輩はスチューデントっす! スチューデントである限り、俺達はプラトニックラブを貫き通すと決めたじゃありませんか!」
「まったく……そのようなケッタイな約束は取り交わしていないぞ? 空」
「ケッタイなこと言ってますかね?! 俺!」
腕を組む鈴理先輩はやれやれとばかりに肩を竦めた。
おかしい、なんで俺が呆れられるポジションにいるんだい。
俺は当たり前のことを当たり前のように言っているだけなのに。
嗚呼、ホラしかも先輩のせいでご姉妹さん方が唖然としちゃっている。責任取って下さいよね。
赤面して悶絶している俺を余所に、瑠璃ちゃんが「鈴ちゃんがよく喋っている」と目を見開いていた。
しかもあんまり見たこと無い姿だと目をキラキラさせている。
なんか嬉しそう。
更に余所の余所で咲子さんと真衣さんが安堵した表情を作っていた。
そんなに普段の先輩って姉妹と喋っていないんだろうか?
真衣さんは微笑ましそうに俺と鈴理先輩を見て、ヒトコト。
「そうなの。では、今日空さまが鈴理さんを食べてしまうのですね。あんなに雄々しい鈴理さんが、そうなの、押し倒され……優男に見えるけれど、やはり男の子なのですね。男の子はそうあるべきです」
のたまう真衣さんのお言葉、すこぶる意味が分かりません。え、俺が先輩を、え? ええ?
絶句している俺の隣で、「真衣姉さん」何を言っているのだと先輩が大反論する。
「あたしが空を食べるんです。いつも言っているじゃないですか、あたしは攻め女だと。空は受け男ですよ」
「男の子は攻め、女の子は受けであるべきだと思うわ。俺様、王子、鬼畜、ドS、そういう男の子に振り回されてこその女の子だと思うの。そんな男の子って胸キュンじゃない」



