前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




するともう既にお二方、先客がいた。


ひとりは分かる、竹光さんに扱かれていた時に見掛けた女性、緑の黒髪を持つ立ち振る舞いがとても印象的だった次女の真衣さんがそこにはいた。


ということはもうひとりは……いかんなくアダルトムードを発している女性はやっぱり何処か先輩、そして瑠璃ちゃんに似ていることから、長女の咲子さんだと推測することができる。


二人は俺等が入ってくるや否や席を立った。

律儀にお辞儀してくる。

客人の応対を心得ているらしい。


財閥の令嬢だからこその振る舞いなのかも。

なんだか庶民の俺にはちょいついていけない接待だ。


「こんばんは、お邪魔しています」


おずおず挨拶をすれば、長女の咲子さんがこんにちはと朗らかに挨拶を返してきた。


「ようこそ、竹之内家へ。昼間の騒動をお聞きしております。大変無礼な接待をしてしまったそうで。ご無礼をお許し下さい」

「あ、いいえ。此方こそ騒動を起こしてしまい申し訳ありませんでした」


ぺこっと頭を下げる俺に、「此方の責任ですので」咲子さんは苦笑を零して謝罪を口にしてくる。


ほんとうに気にしていないのにな。


微苦笑を返す俺は、改めて咲子さんと真衣さんにお邪魔しているとご挨拶。


変に緊張しているのは、お相手が鈴理先輩のお姉さん達だからかもしれない。


瑠璃ちゃんは砕けた挨拶をしてくれたから、そんなに緊張しなかったけど。

 

俺の印象大丈夫だろうか。

一応ポジション的に彼氏なんだけど、その、なあ?


貧乏庶民の凡人が妹さんとお付き合いしているとか、しているとか、悪印象なんじゃ。


昼ドラでよくあるパターンだけど、アウチ、嫌だぞ、そういう風な理由で不仲になっちまうの。

やっぱお互いに適度な好印象を持ちたいじゃんか。な?


「ねえ空ちゃん。もっと質問していい?」

緊張を破ってくれたのは瑠璃ちゃん。メモ帳片手に俺を見上げてくる。

俺が何か答える前に、「失礼でしょう瑠璃さん」真衣さんが咎めた。


「空さまはお客様なのだから、ちゃんと御持て成しをしないと。瑠璃さんはいつも男の子のことになると、見境なく突撃してしまうのだから」


やけに丁寧な喋りだな、真衣さん。妹に対してもさん付けだなんて。

うちの母さんも俺や父さんをさん付けするからあんま違和感は無いけど。