前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




学食堂。

俺と先輩が学食堂を訪れると、いつものようにそこは人でごった返している。


空席がチラホラとあるみたいだけど、基本的に学食堂は人で賑わっている。

いつ来ても学食堂は人気なんだな、と思い知らされた。


鈴理先輩と俺は奥に突き進み、見晴らしの良さそうな窓側の席を陣取った。


弁当の俺に対し、鈴理先輩は日替わりランチセットを頼んで自分の元に置いている。

オムライスやらパンやらサラダやらヨーグルトやら、スッゲェ美味そうなんですが。オムライスとか年に数回しか食べられないぞ!


ううぅ、オムライス美味そうだな……駄目だ。


見るな。物欲しそうに見ては駄目だ。俺には弁当があるんだ。

食えるだけありがたいと思え!


……でも、先輩のランチセット見ていると食べにくいよな。今日の俺の弁当の中身、いつもよりちょっと豪華だといいんだけど。


「ん? どうした、空。食べないのか?」


向かい側で食事を取り始める鈴理先輩が不思議そうにパンを千切っていた。


「いやぁ……ちょっと」


俺は誤魔化し笑いを浮かべながら、弁当と睨めっこ。

此処で弁当を食べないというのも手だけど、それはそれで向こうに気を遣わせるな。

だからって此処で弁当を食っても気を遣わせる気がする。


「具合でも悪いのか? だったらあたしが介抱してやるぞ? 手取り足取り腰取り」


介抱に含みが入っていたような気がするのですが、俺の気のせいでしょうか?

手取り足取り腰取りが、どういう意味なのか聞きたくも無い。


ブルッ、嗚呼、寒気。


「元気ですよ!」


俺は笑いながらヤケクソで弁当箱の蓋を開けた。

瞬間、俺は勿論鈴理先輩も固まった。

どうやら日本国の経済不況の波は我が家の弁当にまで打撃を受けているらしい。


本日の弁当はいつも以上に悲惨である。まる。

まだ日の丸弁当なら救いもあったに違いないである。まる。


「空……あんた。それが昼食か?」


顔を上げれば、俺の弁当の中身に顔を引き攣らせている鈴理先輩の姿。

なんとなく決まりが悪いぞ。やっぱり気遣わせちまった? 遣わせちまったよな……その表情からして。

俺の弁当を見たら、だいたい皆、同じような反応をするんだ。フライト兄弟もそうだったしな。