前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



「先輩ぃいいいい! 今からお食事だっていうのに、とてもお下品っす! 仮にも女性がナニ放送禁止用語を出しているんっすか! しかも連発とかアリエナイっす!」


「おっと、嬉しさのあまりに計画をダダ漏れしてしまった。仕方が無いではないか。楽しみなのだから。空も嬉しそうだな、顔を赤らめて」

「いつものことながら羞恥のあまり暗転しそうっすよ! もーちょっとオブラートに包んでくれませんかねっ!」


「嬉しいくせに。空は素直じゃないな、ツンデレか?」


聞いてくる先輩に俺は脱力する他、反応を示せない。

分かっていたさ、こういう人だよ、先輩って。


唯我独尊、我が道まっしぐら、独自のワールドを持つ方だよ。

素晴らしいね。ほんっと。


こんな先輩を彼女に出来て、幸せモノの俺は嬉しい限りだよ。

泣けてくるくらいに嬉しい。嬉しいと言っているだろう。


深い溜息をついて先輩と一緒にダイニングルームに入ろうとした、その時、「鈴ちゃんだ!」と声。


先輩を鈴ちゃん。

声からして女の子のようだけど、一体……視線を流せば俺等の来た回廊とは反対側の回廊から、パタパタと足音を立てて駆け寄って来る二つ結びの女の子。

年齢は多分年下だろう。


手を振ってくる女の子に、


「瑠璃ではないか」


先輩が彼女の名前を紡いだ。


瑠璃、ああ、四姉妹の末子。ということは先輩の妹さんか。
 

そういえば顔立ち、先輩に似ている気がする。

向こうの方が幼い顔つきだけど、可愛い顔立ちだ。


俺達の前で立ち止まった妹さんは、客人の俺にまず「こんばんは」と丁寧にお辞儀。


「こんばんは」


俺もお辞儀を返して、お邪魔していると綻んだ。

そしたら妹さんは満面の笑顔を浮かべて俺を観察した後、そのまま腰に抱きついて……え゛、ナニこの子、なんで抱きついて……。


何この急展開。

この家の人は初対面に対して何かしらヤらかしてくれる家なのか?



だって先輩だって初対面からちゅーだろ。


竹光さんは執事の新人扱いしてくるし、妹さんは腰にぎゅーっ。


いやいやいや、ありえないありえないアリエナイからね!


先輩の方も見れないからね!

向こうから冷気が流れ込んでくるけど、これは俺のせいじゃない! 不可抗力っ! 俺は被害者!


「あのー」


おずおずと妹さんに声を掛けてみる。


そしたら妹さん、「大雅ちゃんとは違うカワユさある!」キャッと声を上げた。