前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




【ダイニングルーム前にて】


さてと先輩に腕をグイグイ引っ張られながら、俺はようやくダイニングルームとやらに到着することが出来た。


まったく飯を食うだけに大移動だなんて、改めてお金持ちの家はデンジャラスだよ。

素晴らしいね。

究極に空腹時の時は死にそうな道のりだと思うけど。


約束を取り付けたおかげさまなのか、先輩は超ご機嫌。


彼女の笑顔を見ていると俺も誘った甲斐があるってものだけど、でも、「温泉といえば浴衣プレイ」浴衣であーしたいこーしたいの妄想が、俺にとっちゃ非常に頂けない。


しかし俺も大人になった。ちょい大人になったのである。

此処で「それは嫌っす」と言えば、先輩は食い付いて更なる激しい妄想を起こすことであろう。


では、起こすアクションはひとつ。スルーである。

そうさ、いつも此処で「嫌っす!」とか言うから、先輩の攻め精神に火を点けるんだ。

心穏やかに悟りを開いて、聞き流すんだ。流すんだよ空。


「やはり温泉は混浴だろ。それで少しばかり(ピ――“放送禁止用語”――)をして、(ピ――“放送禁止用語”――)をしたり、ついでに(ピ――“放送禁止用語”――)して風呂からあがる。とても滾るな!」


放送禁止用語を出すほど、いたらんことを雄々しく口走る、だと?


い、いや駄目だ。

此処は聞き流すんだ。


聞き流して、何事もなかったかのように。


「で、風呂からあがった後は天の川を見て、寒さに冷えた体をほかすために和室に直行。それからは(ピ――“放送禁止用語”――)から始まり、(ピ――“放送禁止用語”――)で鳴かせたり、(ピ――“放送禁止用語”――)と、後は」


オーケー、オーケー。

俺は頑張ったよ。スルースキルを高めようと努力はしたよ。


この頑張りは今の父さん母さん、そして天国にいる父さん母さんだって、認めてくれる努力だろう。


けど、ふっ……やっぱり無理みたいだ。


放置すればするほど、先輩の口走る雄々しい言の葉が鋭さを増して俺の羞恥心を駆り立てる。

こうやって心中では冷静を装っているけどさ……俺、今、超顔が赤いんだぞ! あばばびびぶべぼー、もう聞くに堪えねぇよ!