引き攣り顔を作る俺にニヤ顔で笑って、
「やはり仕置きは仕置きだしな」
先輩は下着のシャツを掴んだ。
「これは仕置きなんだから、フェアも何もないな。あたしがあんたにどうこうするのはおかしい。ということで空、あんたはあたしにごめんなさいの意味を込めて着替えるべきだ」
「ご、ごめんなさいって……俺は悪いことなんてこれっぽっちもっ!」
「所有者を選ばなかっただろ? まだ抵抗するつもりか? あたしの言うことを聞かん悪い奴は、着替えだけでは済まされんようだ。まあいい、取り敢えず、脱げ、空!」
「脱がないっす! ギャァアアア! 先輩っ、本気っすかぁああ?! イタタタッ! ち、力強っ先輩ぃいい!」
嗚呼――。
こうして俺のこと豊福空は、危うく先輩に吐き気を煽るであろう姿にさせられそうになったのだった。まる。
竹光さんが部屋に入ってこなかったら、俺は、俺はっ、おれはっ……おぇ……想像するだけで吐き気が込み上げてくる。
先輩は俺に女装をさせて何が楽しいのだろう?
まったくもって理解不可能、分析不可能、萌え不可能だ。
やんやんとお小言を垂れている竹光さんは、悪びれた様子もない先輩に何を言っても無駄だと気付いたのか、呆れ返って溜息。
腕を組んでふてぶてしく脹れ面を作っている先輩を流し目にし、
「お松は何をしているのかのう」
教育係のお松さんに文句垂れていたけど、これ以上言っても時間が経っていくだけだと話題を切り替えた。
「お嬢様。夕食のお時間が迫っていますが、如何なさいますかのう?」
「空と共に取りたいからな。空、腹は減っているか? あんたに合わせるが」
「あ、そうっすね。じゃあ頂こうかな」
体が栄養摂取を欲している気がする。
そりゃあ、来て早々新米執事として働かせられるは、先輩と濃厚なキスするは、あれやらこれやら、色んな時間を過ごしてきたんだ。空腹にだってなるよな。
「かしこまりました」
会釈する竹光さんはすぐにダイニングルームに向かうよう指示してきた。
すぐに食事を用意するから、目尻を下げて執事は退室する。
「さてとあたし達も行くか。メイド服は、取り敢えずクローゼットに仕舞っとくが、空、後で着ろよ?」
う゛……諦めていなかったのね。先輩。



