俺の意見に、先輩は笑顔で即答。
「却下だ。ナニが悲しくてあたしがメイド服を着なければならん。つまらないだろ? 目にも毒だ」
「ええぇええっ! 全力で否定するします! 先輩が着た方がメイド服だって嬉しいだろうし、俺も嬉しいですし、先輩のファンだって黄色い悲鳴を上げますよ!」
休憩を取るというのならば、これは是非先輩のメイド姿を見て癒されたい。
やや変態くさい発言をする俺だけど、俺がメイドになるか、それとも先輩がメイドになるか、選べと言われたら俺は確実に後者を取る。
良い意味で目に毒な先輩のメイド姿を見る方が絶対に良いだろ?!
「俺。先輩のメイド姿見たいな。癒されたいなぁ」
おずおずと甘えたな声で掛け合ってみる。
そしたら先輩、満面の笑顔で仕方が無いな、と綻んだ。
「あたしは執事服を着てやる。これで良いだろ? まったく仕置きにならん、フェアなやり方だな」
……いや違う。
俺は別に先輩に対して男装をしろと言うつもりは毛頭ない。
そりゃ条件的に言えばフェアではあるだろうさ。フェアでは。
男装をしてもそりゃあ先輩だったら似合うだろうさ。
カッケーとか思うだろうさ。
美人執事に萌えだと口走る輩も少なからずいるだろう。
だが、しかし!
ナニを着ても似合う先輩と違って、俺が女装なんてしたらブーイングの嵐。
帰れコールが発生するだろう。
ああ自信を持って言える、帰れコールが必ず発生する。
俺が第三者の良識ある市民だったら惜しみなく帰れコールをさせてもらう。
結論から言えば、俺は絶対にメイド服を着たく……ぬわぁ?!
尻込みする俺の膝裏を容赦なく蹴っ飛ばした先輩のせいで、盛大に尻餅をつく。
何するんっすか、という非難の声を上げることができなかったのは先輩が俺の頭を押さえつけて、そのままシャツに手を掛けたからだ。
糸も容易くシャツを脱がしやがった先輩は、それをポイっと向こうに捨てる。



