恍惚に夢を語る先輩の傍で、俺はずーんと落ち込んでいた。ああ落ち込んでいたとも。
だってナニ、この小説の俺の乙女……乙男(オツオトコ)っぷり。
俺の気持ちを惜しみなく曝け出したって先輩に嫌われるだけだものプンプン的ノリで描かれちゃってからにもう。
俺はどこぞの少女漫画主人公か。
雷怖いとか、マジお決まりなキャラを演じちゃって。
ちなみに雷は別段平気っすよ、先輩。
でもなんとなく性格は掴めているから、全部が全部俺じゃないと否定できないわけでも。
いやしかし、性行為は断じて許していないぞリアル豊福空は!
嗚呼、タイトルに⑤って書いてあるから、①から⑤まで取り敢えず最低五回はヤられているんだろうな、架空豊福空は。どんまい小説の俺。
「(川島先輩と宇津木先輩が書いたんだろ、これ。どういう気持ちで友達と後輩の濡れ場を書いてるんだよ。泣けてくる)」
「空、読みたいなら貸してやるぞ。今⑨まで二人が書いてくれたからな。⑩からはなんと前中後になっているらしい! どんな波乱が起きるのか、ドキドキだな」
前言撤回、最低九回はヤられてるみたいっす。架空豊福空さん。
二桁はぜーってぇヤられているだろ、おい。
痛み始めるこめかみを擦っていると、
「こんなものもあるぞ」
またいたらんノートを俺に見せ付けてくる。
一応お聞きしよう。その内容はいかなるものかと。
「こっちは西洋ファンタジーモノでな。女騎士と神子の話だ。ちなみに女騎士はあたしで、空は神子だ。これがまた切なくてな。お互いに結ばれてはならん関係なのだが、果敢なき運命の如く、恋に落ちてしまうのだよ。攻め女ファンタジーにときめきを覚えたぞ」
「……勿論健全っすよね。だったら読んでみたいっすけど」
「安心しろ。性行為は一度っきりだからな」
一でも十でもしたら不健全だからね先輩!
まだ他にも攻め女物語を川島先輩と宇津木先輩が書いているらしく、様々なノートを俺に見せてくれた。
例えば大学設定小説(まだ普通な方)とか、ホストと客設定(ちなみに俺がホストだってよ!)とか、新婚さん設定(俺の設定主夫ですた)とか、アブノーマルな近親相姦姉弟設定(うえええええ?!)だとか。



