前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




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豊福空プチ行方不明事件や先輩とのあらやだぁ騒動に、(一応)一区切りがついたその後、俺はようやく客人らしく、先輩に洋館の中を案内してもらうことに成功した。


気になっていたんだよな、先輩の家がどうなっているのか。


執事服から地味じみ私服にお着替えして、俺は先輩と一緒に回廊を歩く。


ついでだからお手洗いの場所を聞いておこうと思って、彼女にお手洗いは何処にあるのかと質問。


すると彼女はこの辺りは5箇所設置されているから、と満面の笑顔で教えてくれた。

ちなみに公共施設でよく見る男女のマークが扉前に描かれているからすぐに分かるだろうと補足してくれる。


5箇所、家の中に便所が5箇所。

なんてこったい、どれだけの広さなんだ。


途方に暮れる俺は、取り敢えず自分の寝るであろう部屋から一番近い便所の在り場所を教えてもらうことにする。

意気揚々と教えてくれる彼女がとんでも発言をしたのはこの3秒後。


「あたしの部屋から一番近い手洗いは、あそこだ。分からなかったらあたしに聞け」


あたしの部屋から一番近い?


俺は自分の寝るであろう部屋から一番近いお手洗いの場所を教えてもらおうとしてるんだけど、まさか、まさかとは思うけど。


いやでも、こんなに広いんだ。

客間もあるみたいだし、俺はきっと客間で寝るに違いない。そうに違いない。


「あの、先輩。聞くの忘れていましたけど、俺って何処に寝るんっすか?」

「当然あたしの部屋だ。安心しろ、あたしの部屋はベッドはダブルだから」


俺は本格的なサバイバルを強いられるようだ。


「そ、そうですか」


それは安心だな、目を泳がせる俺にきらっきらした目で先輩は意味深に見つめてくる。


そんな目で俺を見ないで下さい。

どんなに期待されても応えられそうにないっすよ。逃げる気満々なんっすから。



閑話休題、先輩に案内された場所は様々。

最初に案内されたのは楽器を演奏するための防音室。


そこには色んな種類の楽器が置いてあった。お決まりのピアノやバイオリンは勿論、フルートやクラリネット、ハープなんてのも置いてあってびっくりした。

この部屋に吹奏楽部が集えば、さぞかし素晴らしい演奏会ができるに違いない。