そこには本を片手に石畳道を颯爽と歩く女性の姿が。
印象的だったのはその立ち振る舞いよりも何よりもその緑の黒髪。
日本女性を物語る艶やかな長い髪に見惚れてしまった。
綺麗な髪だな。あの人。
「真衣お嬢様じゃ」
竹光さんは女性の名前を教えてくれる。
ということは、あの人は竹之内財閥の次女か。
「ご挨拶をしたいところじゃが、またお出掛けになられるじゃろう。ご多忙の身の上じゃから」
「そうなんっ……げほげほ……そうなのですか」
「真衣お嬢様は持ち前のカリスマ性から、ご両親の期待を特に買われているからのう。これからご両親と社会勉強のために、隣町で開かれる財閥会合に出られるそうじゃ」
チンプンカンプンの単語を出されたけど、とにかく姉妹の中で特に期待されている人なんだな。
凄いっちゃ凄いけど、期待されている姉妹が出てくるってことは……疎外感を抱く姉妹だってやっぱりいるわけだよな。
鈴理先輩、自分でご両親に期待されていないと言っていたし。
折角の家族なのに、家内でランク付けされるなんて心苦しいだろうな。
金持ちには金持ちの事情がある。
大雅先輩がそう言っていたけど、ほんと、そうだな。根の深い事情がありそうだ。



