なんだか釈然としないと思いつつ竹光さんの後をついて行った先に待っていたのは、植え途中であろう花壇の群。
沢山の花の苗が花壇の土に埋まりたそうな顔をしているけど、こんなところに連れて来て……俺にどうしろと。
「よし、荷物はそこに置いて早速花壇を作るんじゃ。いいな、20分以内じゃぞ」
「お、俺が? ……や、やります! 20分以内っ、頑張ります!」
ギッと相手に睨まれたらやらざるを得ないだろ!
なんで来て早々こんな目に……もしかしてあれか、召使の新入りと勘違いされているのか。
それとも彼氏だから……試されているのか?
どっちにしたって逆らえる雰囲気じゃない。
急いで建物の壁に荷物を置き、俺は腕捲りをして作業を開始する。
「いいな、20分以内じゃぞ!」
念を押されて、「はいっす!」元気良く返事をしてみたけど、「言葉遣い!」怒鳴られて言い直しを余儀なくされた。
ほんっと、なんでこんな目に。
俺は花壇の傍に置いてあるスコップを手にして、手早く作業開始。
背後では鬼のような顔で監視をしている竹光さんが俺の作業を見守っているんだ。へ、ヘマはできない。
(先輩っ、どーなっているんですか。泊まりじゃなくて俺、まさか花婿修行ならぬ彼氏修行させられているんっすかね! お嬢様とお付き合いってそんなに厳しいんっすかね!)
グスンと涙ぐみつつ、俺は息苦しい空気の中、作業に没頭することにした。
こうしてワケも分からず作業を開始すること25分後、5分ほどロスしつつ無事に花の苗を花壇に植え終わることができた。
勿論竹光さんには褒められ……る、わけもなく、5分も時間ロスしたことにお小言を頂戴したのだった。



