キャベツの下に隠した焼肉を箸で取り出して、先輩が口角をつり上げてくる。
「これと同じように、ロールキャベツも外見はキャベツだけど、中身は肉が詰まっている。
人間に例えれば、普段は草食系にしか見えない優男だけど、中身をほじくってみればガッツリガツガツ肉食系男子ってわけだ。お前にピッタリだろ?」
「お、おぉお俺にピッタリって」
「男はやーっぱ攻めなきゃ駄目だぜ。べつに普段はそのへなちょこっぷりでいいけど、濡れ場まで攻められたら立場がねぇだろ? テメェだって一応男。攻めたいだろ? な?」
そ、そりゃあ、攻めて先輩の赤面が見られたら儲け物だけど、相手は鈴理先輩だぞ、鈴理先輩。
男よりも男前、じゃない、女前なんだから、先輩を攻めたら最後、俺の身の上が危うくなる。
自分から地雷を踏みに行くようなものだ。
面白そうに笑う大雅先輩は、「鈴理も実は攻められたいかもだぜ」と耳打ちしてくる。
え、ほんとに、マジで?
目を丸くする俺に、うんっと大真面目に頷く大雅先輩。
「あいつ、実は乙女思考も持っているからな。可愛いことを思ったりすることもあるんだぜ。今
頃思っているんじゃないか、『空。いつになったらあたしを押し倒してくるんだろう』って。『攻めてこないなんて、あたしのこと嫌いなのかしら』とかも思ったりして」
途端に俺はサーッと青くなった。
そ、そうだったのか。
せ、先輩……実は俺の攻めを待っていたりっ……ちょ、落ち着け。落ち着け。落ち着け。
仮にも鈴理先輩だぞ。あの鈴理先輩が俺のような受け身アウチ男の攻めを待っているなんて、到底考えられないんだけど。
いやでも、大雅先輩は鈴理先輩の幼馴染みであるからして、お互いのことは何でも知り尽くしている。
と、いうことは、乙女鈴理な面も実は知っていたり?
付き合いの浅い俺には知らない、鈴理先輩の一面を知っている幼馴染みの大雅先輩。その先輩が言うんだ。
もしかしてもしかするとひょっとすると、であるからして。
なら、やるっきゃねえ。
いつも攻められているんだ。
たまにゃあ、攻めたって、攻めたってだなぁ!



