孤独、その単語に俺は口を閉じるしか術を取れなかった。
そういえば、ちょいちょいと寂しい顔を目にしてきたな。
「金持ちには金持ちなりにジジョーってのが存在するもんだ。わりかし子息令嬢ってのも楽じゃねえんだぜ?
あいつの抱えている孤独は、お前自身が見つけ出してくれたら、と思う。俺からじゃ言えないし、俺が見つけ出すことができても、それを取り除くことはできねぇ。
惚れられた受け身くんだからこそできるんじゃねえの?」
美形金持ちがカッコよくウィンクしてくる。
俺だから、と、言われましても大雅先輩……どうすればいいのか、抽象的にも、具体的にも、分からないんですけど。
先輩の孤独を見つけることができるだろうか。
そして俺がそれを取り除くなんて大それたことを、果たしてできるのだろうか。
唸っていると、
「やっぱヤられるしかねぇって」
それが一番手っ取り早い、大雅先輩に余計な助言をされて俺は赤面した。
だ、だから……ヤられたくないんだって!
「む、無理っすよ。大雅先輩」
「テメェは寝転がっているだけでいいじゃねえかよ。リードはあいつがしてくれるんだし? ああ、それか俺様が講義をしてやろうか?」
「講義?」
「おう。肉食攻め女のあいつを、押し倒せるこ・う・ぎ」
「イ゛?!」
素っ頓狂な悲鳴を上げる俺に、
「ロールキャベツ系男子になっちまえよ」
ボソボソッと大雅先輩が声を窄めてくる。
なんだよ、そのロールキャベツって。
そりゃ弁当にはキャベツは入っていますけど。
目を白黒させる無知で初心(うぶ)な俺に、ふふんと先輩は面白半分な眼差しを向けてきた。
「いいか、ロールキャベツ系男子ってのは」
言うや否や、自分の残り少ない焼肉を箸で摘まみ、それを俺の弁当の中に入れてきた。というか、キャベツの下に隠した。
「お前みたいな草食系男子の姿をキャベツだとすると、俺みたいな肉食系男子はこの焼肉。お前は受け身系で、俺は攻め系。分類に分けると見た目どおりキャベツは草食、焼肉は肉食だ。
ではここで問題。キャベツと肉が合わさった料理といえば、なんだ?」
「無難に考えて野菜炒め……と言いたいですけど、先輩がさっきから口走っているロールキャベツって言うのが妥当っすね」
「ご名答。つまりこうだ。今、この弁当箱を見る限り、キャベツしか見えない。だがちょいと箸でほじくってみると焼肉が出てくる」



