「へえ、この俺とねえ?」


意味深に目を細めてくる二階堂先輩だったけど、次の瞬間ニッと笑って俺の首に腕を絡めてきた。ちょ、苦しい。


「見る目あるじゃねえか、この俺と友好を結びたいとか。しょーがねぇな、べっつ庶民と仲良くするのなんざ嬉しくねぇけど、テメェがそこまで言うならダチになってやってもいいぞ」


なんでこの人、こんなに喜んでいるんだよ。


「喜べよ。この俺がダチになってやるんだから! そりゃあ俺はテメェよりも、財力はあるし、容姿はいいし、女子にはモテだし、ナニに関しても勝っているけど、だからってダチを作る上限ってのはねぇんだ。寛大だな、俺。金持ちならフツー財力その他諸々で蔑むってのに、俺はダチとして迎え入れてやる。ヤサシーな」


いえ、寧ろ初対面は思いっきり蔑んでくれましたよね。


俺は覚えていますよ、ちゃーんと覚えていますよ。

苗字に似合わず貧乏とか言っちゃってくれましたよね?


結構根に持つようなこと言ってくれましたよね?


覚えているんですから、俺。



「んじゃ早速、昼休み、学食堂で一緒にメシでも食おうぜ。後輩くん」

「え゛? だって、二階堂先輩……昼休みは鈴理先輩が突撃してくるから……って」


「バッカ。そりゃあいつに邪魔されないようお前とサシで話したかっただけであって、メシとこれは別物だっつーの。テメェからダチになりたいって言ってきたんだ。俺の誘いを断る理由なんてねぇよな? てか、俺が誘っているんだ。断る意味なんざねぇだろ?」


……もしかしてもしかしなくとも、俺は非常に厄介且つデンジャラスな人と繋がりを持ったのではないだろうか。


さっきまで鈴理先輩思いの優しいオトモダチだとか思っていたんだけれど、気のせいだったのかもしれない。

実はこの人、オトモダチが少ないんじゃないか? いないとまでは言わないさ。


だって鈴理先輩のことを悪友と呼んでいたんだ。悪友でも一応友達として頭数に入れておく。

だからオトモダチがいないわけじゃないんだろう。


ただ……この性格だと、オトモダチが出来やすいとは間違ったって言えないような。