「やーっと安心したぜ。鈴理って性格がめちゃ変わっているからさ。正直、ヒモされちまっているんじゃないかって不安だったんだけど……そうか、あいつの見る目は間違っちゃなかったのか」
「え? なんでそんなこと言うんっすか? 二階堂先輩……先輩の許婚でしょう? 好きなんじゃ?」
「ウゲッ?! 俺があいつを?! ジョーダン抜かせ!」
悲鳴を上げる二階堂先輩は好きじゃないと即答。
えー、でもデートした日。
先輩を必死に追い駆けようとしていたし……。
俺の指摘に、
「そりゃあ。あんな傷付いた顔されたらなぁ」
二階堂先輩は頬を掻いて溜息をついた。
「喧嘩ばっかするけど、俺はあいつのこと嫌いじゃない。寧ろ好きだ。おっと悪友としてだぞ。向こうも思っているだろうぜ、俺とは悪友だって。
だからー、あー、心配になったんだよ。鈴理が貧乏、じゃね、庶民と付き合い始めたって聞いてさ。
……先日は悪かったな、変に蔑んで。悪気があったわけじゃない。けどテメェに警戒心が無かったわけじゃねえ。だからあんな態度を取ったんだ」
なんだよ、この人。
俺様の肉食系で自分勝手なジコチューかと思いきや、意外とイイ人じゃん。意外とさ。
「二階堂先輩って、すっごく友達思いなんっすね。俺こそ、鼻に掛けた嫌味なお金持ちさんって思ってすんませんでした」
「うっわ。この俺をそんな目で見ていたのかよ、お前」
「だって第一印象が悪かったんっすから、しょーがないじゃないっすか。お互い様です」
自然と漏れる笑声に、不貞腐れていた二階堂先輩もつられて笑声を漏らした。
ホンット第一印象は良くなかったけど、こうして会話してみるとイイ人だよな。二階堂先輩。
変に俺様が入っているような気がするけど、ご愛嬌として受け止めておくことにしよう。
「先輩とは幼馴染みなんですよね?」
「ああ、そうだ」
物心付く前から一緒だったんだ、二階堂先輩は顔を顰めながら答えてくれる。
「だからお互い、誰にも知られたくない秘密から何から知っているんだ。
はぁあ、初対面から許婚とか親同士に紹介されたんだけど、親曰く俺等、初日から大喧嘩したみたいでな」
「えぇええ。まだ物心付いてなかったんですよね?」
「赤ん坊なのに喧嘩したみたいなんだ、俺等」
「それって根本的に」
「馬の骨が合ってなかったんだろうなぁ。俺等」



