「昼休みは鈴理がお前に突撃してくるだろうが。あいつに乱入されると厄介なんだ」
「鈴理先輩……に、聞かれちゃ不味い話なんっすか?」
「不味いも何も、あいつ、俺には容赦ねぇからな。ちょっとでも言えば、飛び蹴りかましてくるだろうし。
俺はサシでテメェと話したかったんだよ豊福空。さっきも言ったが、テメェのことはある程度、調べさせてもらった」
「え?」
「私立エレガンス学院、1年C組豊福 空。7月10日生まれのかに座でA型。学費を賄うために『特別補助制度』を受けている特待生。学年テストでは常に五位以内に名を刻んでいる。すげぇな」
「あ、どうも」
「ま、名を刻まないと『特別補助制度』を剥奪されるからな、五位以内に名を刻んで当然だろう。あーそれから運動神経も良い。
特に持久力の使う運動関係は大得意。その理由は毎日30分以上掛けて徒歩で通学したり、スーパーのタイムセールのために走ったり、バーゲンセールのために隣町まで自転車をかっ飛ばしたりしているから……か、なるほどな」
「そ、それも調べられているんっすか?」
「当然だ。鈴理の彼氏と聞いたんだ。徹底的に調べ上げるのが俺の流儀だ。あと家が貧乏故に金銭面の管理はしっかりしているが、しっかりし過ぎてケチな部分も多々見受けられるとか」
「け、倹約家なんっす!」
「ナニナニ? 自分に物をくれる人=良い人だと思っているため、餌付けされやすい。イチゴミルクオレ(1パック80円)がお気に入り……テメェ、単純な性格なんだな」
ブレザーから取り出したカンペらしきメモを読み上げていく二階堂先輩は、憮然と肩を竦める。
な、なんでそこまで調べられてっ、なんか小っ恥ずかしいんだけど!
「あーっとそれから……入院経験あり。豊福家の養子で実親は…………あー、なんでもねぇ。今のは忘れろ」
グシャっとカンペを握り潰す二階堂先輩だけど、バッチシ俺の耳には届いたし、忘れられそうになかった。
まさかそこを調べられていたなんて……べつに血縁のことを無理に隠しはしないけどイイ気分じゃない。
自分で話すならともかく、勝手に調べられるなんて。
若干不機嫌になる俺に気にせず、二階堂先輩は「後は」流し目でこっちを見た後、おもむろに歩んで来た。嫌な予感が……。
思った瞬間、またもや腕を掴まれてズルズルと移動開始。
一体全体何処っ、うわああぁあああタンマタンマタンマー!



