前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



オーラが男版鈴理先輩。

物事は俺中心に回っていますという顔をしている。


世界の中心は俺で回っているってか?

ええい、俺様は同性として腹が立つぞ。あたし様は女性だから許せるのだ!


ゲンナリする俺は「授業には遅れたくないんです」と率直に物申す。


「高校は小中学校と違って授業料が掛かっているんっすから、無駄にはできないんですよ。話なら昼休みに聞きますから」

「お前のことは調べ上げている。『特別補助制度』を受けている特待生なんだろ? いいじゃねえか。全額授業料免除になっているんだから」

「なあに言っているんっすか。例え免除になっていようとも、金は掛かっているんです。一円たりとも無駄にはできないですよ」

「うっせぇ奴だな。犯しちまうぞ」
 

「え゛?」


ズザザザザッ。

がに股で後退。

素早い動きで二階堂先輩から離れて壁際に避難する。


ナニこの人、もしかしてもしかするとそっち系?

女がどうたらとか言ってたくせに、まさかの両刀……?


やだもう、なんか教室に帰りたい度MAXなんだけど。


いやいや、でも大丈夫。

俺は美形でも可愛い系でもないんだ。普通なんだ。欲情する顔じゃないんだ。


けど、お、お、おぉおお金持ちの思考ってちょっと飛んでいるから(ぶっ飛んでいるお手本は鈴理先輩だったりする)、もしかしてもしかすると……前略、不況に抗う父さん、母さん、息子は今、ピンチを迎えています。大変な意味で!


半泣きの俺に、


「言葉のあやだっつーの」


真に受けるなと先輩が呆れてきた。


で、ですよねぇ……あー良かった。

びっくりした。


こんなに過剰反応するのも、鈴理先輩のせいだよな。


先輩がいつもいつもいーっつも、食うだの、犯すだの、放送禁止用語をぺらぺら言い放ってくるから。


ホッと胸を撫で下ろす俺に、馬鹿じゃないかと肩を竦める二階堂先輩はそっぽを向いて、「昼休みは不味いんだよ」舌を鳴らしてきた。