「追ってきてなんっすけど……場所変えてもらっていいっすか。吐きそうっす」
体から冷汗、脂汗、何汗がドッと滲み出てきた。
先輩、すんません、本気で無理っす。泣きたいくらい無理っす!
「た、高い……」
恐怖のあまりにぼろっと一粒の涙を零してしまう。
高所恐怖症を舐めるなよ。
普通に怖いんじゃボケェ! トラウマがあるんじゃい! 男の意地で上ってはみたけど、やっぱ怖い、高い、こわたかい!
グズグズと高所に嘆く俺を目にした鈴理先輩が、大慌てでハンカチを取り出し、顔を拭ってくれる。
せっかく格好良い姿を見せられたと思ったのに、これは残念過ぎる。
手を引いてもらって階段を一緒に下りてもらう姿、最高に情けない。このヘタレ受け男!
俺の気を落ち着かせるために、鈴理先輩が代々木公園まで先導してくれた。
此処は本当に大きい公園で、中央広場を筆頭に、陸上競技場やサッカー場、サイクリングコースなどといった施設が充実している。
生い茂る草木は青々として、都会で疲労している訪問者の心を癒してくれる。
水景施設に設置されているベンチに腰掛ける頃には、俺の気もすっかり落ち着いた。
並行して、内心べっこべこにへこんでしまう。
高所恐怖症でまた泣いちまった。情けねぇ。
男を見せる場面で、泣くとかどんだけ残念だよ。
まーじ俺じゃ彼女のヒーローにはなれないよな。



