前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―




ついでにンなことしたら、変な勘違いを起こした先輩に、お持ち帰りされちまいそうじゃないか!


攻め顔で「なるほど。その目は誘っているのだな」とか言われてテイクアウトさッ……バッカァアアア!

立場上、テイクアウトするのは俺だろ! なんの心配しているんだよ! テイクアウトうんぬんかんぬんで悩むとか、俺は乙女かよ!


俺の場合は乙男(おとお)?

いや、これじゃあ単なる乙男(おつおとこ)だろ。乙だ俺。


「俺のお馬鹿」


ズーンとその場に両膝をついて落ち込む。

嗚呼もう、この場から消えてしまいたい、切に。

生きていてごめんなさいな気分だ、切に。


男になりたい、切に。


「まったく、空は照れ屋だな。あんなところで赤面しているなんて。堂々とラブイチャができない奴なんだ、あたしの所有物は」

「……俺様の目には羞恥のあまり爆死したくなっているようにしか見えねぇけどな。鈴理、あのオトコのナニが良いんだ?」

「むっ、あたしのオトコを軽んじる発言は慎め。先程から空にして無礼だぞ。第一あんた、なんで此処にいるんだ?」

「親父の付き合いで此処のデパ地下を視察しにな。二階堂財閥は此処のデパ地下に融資しているからな。ったく、てめぇの彼氏がどんなものかを見に来たが」

「襲いたくなるだろう?」


「……いや、俺は男を見て興奮するタチじゃねえって。鈴理、てめぇが思っている以上に交際はスキャンダルだ。仮にも竹之内財閥の三女だろうが。なんで、そんな男と付き合っているんだよ」


落ち込んでいる俺の余所で、先輩方が濃厚そうな話を繰り広げている。


二階堂先輩は肩を竦めて、

「続かないんじゃねえの?」


俺と鈴理先輩の関係をズバッと指摘。

財閥の娘と庶民じゃ前途多難は一目瞭然だし、実情、表向き自分と許婚なのだ。両親の耳に入ればどうなることか。

「ナニよりも」

フッと意地の悪い笑みを浮かべて、二階堂先輩はあくどく言った。


「財閥は財力が要だ。噂じゃそいつ、庶民の中でも財力が低位だそうじゃないか。ナニ、ヒモ男なのか? そいつ」


衝撃が走った。だ、誰がヒモっ、誰がヒモだよ!


「ほおっ。つまり、空があたしの金目当てで付き合っているとでも?」

「普通そう思うだろう」


ハッ鼻で笑い肩を竦める二階堂先輩に、「なるほどな」そういう考え方もできなくはない、鈴理先輩は一つ頷いた。


え、いや、俺はそういうつもりまったく……。