「確かに傍から見れば非常識のドケチ精神にしか見えないが、それも空だ」
くるくると手際よくフォークでパスタを巻いたと思ったら、先輩はそれを俺の口元に押し当ててきた。
「あ」母音を言われて、反射的に「あ」言葉を発する俺。
口内にフォークごとパスタを押し込められて、気持ち的にアッチッチ。なのに先輩は更に気持ちに火をつける。
「そうやってドンドン曝け出せばいいさ。どんな空も見てやるから。あたしはあんたのことは、誰よりも分かっている。だからもっと曝け出せよ」
暖はもういらないのに、小っ恥ずかしいことを平然と彼女は言い放って俺の体温をグングン上げていく。
モグッとパスタを噛み締める俺に、
「空、節約とは何をするのだ?」
是非聞かせて欲しいと先輩が話題を切り出してくる。
さも当たり前のように俺のことを聞いてくる先輩。
嗚呼いつもそうだ、先輩はそうやって当たり前のように俺の中に入ってくる。
戸惑う暇もなく入ってくるもんだから、普段の俺じゃ絶対に話さない高所恐怖症のことも、血縁のことも、さらっと彼女に話してしまった。
なんか先輩に侵食されている気分。
侵食、いや先輩色に染まっているのかもな。
ぎこちなく視線を逸らして、俺も先輩のようにくるくるっとぎこちなくフォークを回してパスタを巻く。
またもや先輩の真似っこをする俺は、それを差し出して「語り出すと」止まらないっすよ、と忠告。
受け身なりの反撃だったりする。
キョトン顔を作る先輩は一変して破顔。
「ああ、上等だ」
そう言ってフォークを銜える先輩の仕草に可愛いと思う俺がいる。
内緒話。
キスしたいとか、抱き締めたいとか、激不覚なこと思ってしまったんだけど……初デートで浮かれているのかも。
ほんっと攻め攻め押せ押せな困ったさんの彼女にどっぷりはまっていく俺がいる。いるんだ。
彼女と視線がかち合い、俺は思わず照れ笑いを零した。



