つくづく日本人っておかしいなぁ。
同じめん類のそうめんやうどん、ラーメンはお箸で食うってのに。
なーんで西洋かぶれにフォークで食べるんだろう。
あ、しかも先輩、スプーン使っている。
はあ? 何それ。
パスタにはスプーンも使う規則なんっすか? たかがめん類なのに?
目を点にしていたら、ヴォンゴレ・ロッソを頂いている先輩が石化した俺に気付いて笑声を漏らした。
「空、普通に食べればいいさ。日本ではスプーンを使って食べたりするが、イタリアではフォークのみを使用するが、此処は日本だしな。そう硬く食事をしても美味くないぞ? 今日はデートなのだからな。気楽にいこうではないか。硬くなるなら、ベッドの上で緊張しろ。今晩が楽しみだな」
「それもそうっ……すね、じゃない。先輩。やる気モードは解除して下さいっす!」
「イヤヨイヤヨモスキノウチ。そう期待するな、空。時期に夜は来る」
だから違うと言っているのに、この不謹慎お嬢様はっ!
おっとダメダメ。
下手に食って掛かったら足元を掬われて返り討ちに遭うんだからな。軽く咳払いをした後、俺は不慣れな手つきでフォークを使う。
パスタを巻いて口に運んだその瞬間、ぶわっと視界に花が咲いた。
それなりのお金を払うだけあって美味い。ああ、幸せ。
パァッと空気に花を咲かせていると、「美味いか?」声が掛かってきた。
俺はうんうん頷く。
泣きそうなくらい美味いんだけど。
やべぇヴォンゴレ・ロッソ。カッコつけた名前だけあって美味いじゃないかよ!
「美味いっす。とても幸せっす。ほんと食べ物には感謝感謝っすね。あ、これって詰めてもらえるんっすかね? できますよね、お金払っているんだし」
俺の発言に先輩の食べる動きが止まった。
「……待て空。持って帰るつもりか、そのパスタ」
「え? だってもし余ったら勿体無いじゃないっすか! なんか俺、感動の余り胸が一杯になって。食べ切れなかったら持って帰るつもりっすよ。今日はタッパー持参してないんで……できたら向こうが用意してくださると嬉しいっす。
でも無理なら、近くの百円均一で買ってくるしかないっすよね。んー、それも勿体無い気がするっすけど」
それに持って帰れたら両親にも食べてもらえる。
お持ち帰りプラス親孝行、わぁお素敵に無敵な二重にお得!
意気揚々に答える俺はうんうんと自己完結するように腕を組んで頷いた。



