前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―



こうして俺は先輩と同じものを注文。

よく分からないヴォンゴレ・ロッソというパスタを頼んで、やることないから手持ち無沙汰になる。

おっとデート中なわけだから手持ち無沙汰は失礼な表現だよな。


しっかりとデートを満喫しなければ! 人生初のおでーとだぞ、おでーと。


「あ、そうそう」


話題を見つけ、俺は先輩から借りている携帯を取り出して画面を開いた。


「先輩。俺、どうにか写メの撮り方が分かったんっすよ。保存もできるようになりましたし」

「何を撮ったんだ? ……まさか女などとケッタイなことを言うわけじゃなかろうな? まあそれも良かろう、仕置きの対象になるだけなのだからな!」

なんでそーなるんっすか。

「違いますよ」

怖い顔を作る先輩に全力で否定して見せた後、空(俺じゃなくて青空の空な)を撮ったのだと主張。


現代っ子に近付くため、俺はこうして日々苦手な小型機械と闘っているわけだ。

写メも撮れない現代っ子ってどーよ。


鈴理先輩は俺から携帯を受け取ると、綺麗に撮れているじゃないかと褒めてくれた。


「しかし空、名前のとおり画像が空ばかりだな。空が好きなのか? 空」

「ややこしい言い方はやめてくださいよ先輩。その画像たちは俺が練習に撮っただけなんで、別に空が好きというわけじゃ。その内、お気に入り以外は消そうと思っていますし。先輩は携帯で何か撮ってないんっすか?」


「愛犬を撮っているぞ。見るか?」


スマホを起動し、先輩は俺に愛犬を見せてくれた。

先輩はゴールデンレトリバーを飼っているらしい。

真ん丸瞳をこっちに覗かしている愛らしい犬が写っていた。


ちなみに名前はアレックスだとか。

さすが先輩、俺の予想どおり名前はカタカナだな。


お嬢様の愛犬だもんな、名前がカタカナで納得だ。


「指でスライドしたら次の画像に飛べるから。自由に見ていいぞ」

「はいっす。どれも可愛いっすね。寝ている姿だ。あ、これ、先輩が写っている。それにこれは俺だし……は?」


愛犬の画像が一変、次の画像から何故か豊福空と呼ばれている少年の画像が。

画像の少年は板書しているのか、黒板を見ながらシャーペンを走らせている姿があったり、なかったり。

次の画像もイチゴミルクに感動している俺、次も机に伏せて寝ている俺、次も携帯を弄っている俺で。俺、俺、おれ、おれ、以下同文。