前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―






さて一方、此方は駅内部カフェ店にて。


「うぬぅううう! 隊長、やはり情報は本当でしたね。憎き1年C組豊福空と我がアイドル鈴理さま、お、お、お、おでーとだなんて!」


双眼鏡片手にサンドウィッチを頬張る高間 裕次郎は煮え切らない気持ちを噛み締めて窓向こうを観察。


忘れているかもしれないので再度説明しておくが、彼のこと高間裕次郎は『鈴理さま見守り隊』の親衛隊副隊長である。

頭に巻いた鉢巻、『I Love Suzuri !!』が今日も痛々しく輝いている。


カウンター席に着いている高間は忌々しいとばかりにサンドウィッチを引き千切るように裂いては、モゴモゴと残骸を口におさめていく。

無残なサンドウィッチの姿など目もくれず、ただひたすらに駅広場向こうの時計台下を観察。

カッコイイ姿のお嬢様に見惚れ、制服姿のダサ男に地団太を踏んではキィキィと怒声。とても忙しい男である。


さて、そのお隣で優雅に珈琲を啜っているのは、『鈴理さま見守り隊』の親衛隊隊長・柳 信幸。

同じく『I Love Suzuri !!』鉢巻が痛々しく以下省略。


爽やかに珈琲を啜っているものの、やや表情は引き攣り気味。

やはり片手には双眼鏡。


悪趣味な事に人様のデートのデガバメをしては副隊長の高間と怒りを噛み締め合っていた。


憤るくらいならばそんなことしなければ良いではないか……と思うかもしれないが、なにせ我等のアイドルが平々凡々一年とおデートをするのだ。

デガバメしないわけないではないか!

此方は『鈴理さま見守り隊』なのだから!


情報を入手したのだからデガバメするだろう。


おデートはある意味、我等がアイドルの一大事なのだから!


「隊長っ、このままおとなしゅうデガバメで終わるなんて堪えられないですよ!」


涙ぐむ副隊長に、「当たり前だ」グッと握り拳を作り、柳は熱弁。


「何のためにこうやって尾行を決意したと思う? デートを台無しにし、二人の仲を裂くためではないか。高間!」