俺は健全的に言った、言ったまでだ。

これは向こうの受け取り方が悪いと思う。


俺に責任は無いと思う。


ちょっと落ち込んでいる俺の余所で二人は和気藹々と話を進めていた。


「さっきの台詞に無理むりって言っちまいそうになるよな。相手が悪いっつーかさぁ」

「大人しく食べられるべきじゃない? って助言したくなるって言うか。空くん、半分は女のポジションに立っているし、世の中そういう逆転カップルがあってもね」


………。


「いっそ認めちまってもいいんじゃねーの? 受け身直せそうにないし、女ポジションで悠々と恋人ライフを満喫してもなぁ」

「あ、思う思う。実際逆転カップルって、なっかなかお目に掛かれないから見ている側は楽しいというか」


………。


「男のプライドなんて捨てちまえー。なーんて……う、ウソウソウソ! 空、今のは冗談だから!」

「空くん! ごめん。落ち込ませるつもりはっ!」


「裏切られた気分だ。俺に男を捨てろなんてッ……、フライト兄弟は味方だって思っていたのにッ! ひでぇえええ! 男捨てろとか!」


嘆きながら机上に伏せる俺にフライト兄弟は慌ててそういう意味じゃないと慰めてくれる。

けどさ、今のは、今のは傷付いた。

男を捨てろとか、友達にそんなことを思われてなんて!


「くっそう、俺はモロッコで性転換すりゃいいのかッ! 女になった俺を先輩は好きだって言ってくれるのかッ……手術って幾ら掛かるんだ」

「ば、馬鹿。それじゃカップルの形が違ってくるだろ。俺等が言ったのはプライドの話で……嗚呼、ごめんって、謝るからさ」

「わわわっ、泣くなって空くん! 君のこと、僕等は全力で応援しているから!」


「うるせーやい。女になってやらぁ」


グズグズと自棄を起こしながら言葉を突っ返す俺にフライト兄弟はあたふたあたふた。



前略、今日も必死に働いているであろう父さん、母さん、貴方の息子は友達の発言によって娘になるかもしれません。その時はお許し下さい。


あ、弁解になるかもしれませんが、責任はすべて友達にありますんで。そこのところ宜しくお願いします。