「なっ!」


小梅の親父は勢い良く前に転んだ。


「てめえ、足を使うなんて卑怯だぞ!」


「お父さん、今してるのはボクシングじゃなくて喧嘩ですよ?俺は小梅を守るなら、どうやってでも守ってみせます。」


俺がそう言うと、小梅の親父はフッと笑った。


「要、小梅が連れてきてここまで俺にぶつかってきた男はお前が初めてだ。俺はこんな親父だから、皆逃げちまったけどお前は違うんだな。」


「お父さん、今要って……」


「認めてやるよ。ここまで真っ直ぐに小梅を想っていると思うと、逆に俺が悪者になるしな。そのかわり、小梅を絶対守れよ。守らなかったら…」


親父はそう言って拳を作った。