〈ピンポーン〉


「は~い。今行きます。」


咲婆ちゃんが小梅の家のベルを鳴らすと、家の中から小梅の親父が出てきた。


「咲婆ちゃんじゃないか。どうしたんだい?」


「トマトとキュウリが豊作だったからおすそ分けっちゃ。」


「それはありがたい。咲婆ちゃんの作った野菜は美味しいから。」


そう言ってニコッと笑った小梅の親父の顔はどことなく小梅と似ていた。


「それは嬉しいっちゃ。要くんも手伝ってくれてありがとうっちゃ。」


咲婆ちゃんが俺の名前を呼ぶと小梅の親父は眉をピクリと上げた。