「広いな。」


初めて入った兄貴の家は、一軒家で立派だった。


「兄貴、なんでこっちに戻って来たんだ?去年まで都会に住んでたのに。」


都会の方が、何かと便利だし先生としても学校には行きやすい。


俺が聞くと兄貴は、窓から外を見た。


「小梅が入学した日、小さい時から全然変わってない小梅を見て、昔の事が懐かしいと思った。店もないし不便だけど村の人は仲が良いし温かみがある。」


兄貴はそう言って俺に微笑みかけてきた。

「本当に良いところだよな。」


小梅がどう育ったかわかる気がした。