「会長は?」


庵に逆に質問されて私は言うべきか躊躇った。


「いると言えばいる。」


「俺も好きな奴いるよ。」


庵のその言葉に胸がドクッと鳴った。


「そっそっか。なら早く告白しないと他の奴に取られるぞ。早く行きな。」


私はそう言ってから、下を向いた。


他の女子の所に行く後ろ姿を見たくなかったから。


「会長、顔上げて。」


「良いから早く好きな女子の所行けよ!」


「もう好きな女子の前にいる。」


「えっ?」


驚いて顔を上げると庵が真っ直ぐに私を見ていた。