千裕は霧に包まれたところに座り込んで、つぶやいていました。
もちろん、夢と現実の間の話なのでしょうが。
「大丈夫なんかじゃないよ・・・。
ひかる痛いんだろ。つらいのに無理したんだね。」
「大丈夫だよ・・・。私早く大人にならなきゃいけないんだもの。
じゃないと、ずっと先生って呼ぶしかないから・・・。」
「俺は先生なんてもんじゃない。
かわいいからってうれしいからって、俺は最低だ。
うん、ひかるがそこまで尽くしてくれるんだから、俺は約束する。
この続きは結婚式が終わった後までとっておく。
そうする。絶対、決めたから。」
ひかるは千裕が目を閉じたまま戻って来ないのではないかと、気になって千裕の背中をトントンと手でたたいて叫びました。
「ここで寝ちゃだめ、目をあけて!」
トントントントン!!!!
「俺が決めたから・・・・・・あっ。」
目が覚めて顔を上げた千裕は、びっくりした表情でひかるの顔を見つめました。
「ひかる、俺・・・。」
「もしかして、思い出したの?」
「全部じゃないんだけど、断片的に思いだした。」
「わぁ。でも、断片的にでも記憶がもどったってことは、全部戻る可能性が十分あるってことですよっ。」
「あのさ・・・ひかるが帰ったら話するって言ったけど、もういいから。」
「えっ?」
「いいんだ。そこらへんの記憶がもどったから。」
「そう。」
「それだけ?」
「うん、千裕様が決めたことに従うだけって私も決めたから。」

