ヴァレリーがパティシエの助っ人として千裕を呼び、明日が財界人のパーティー本番という日を迎えていました。


ヴァレリーの助手としてティエリとセルジュも参加するので、ヴァレリーは明日の説明をしています。

工房は明日は休日となり、弟子である5人は自由行動です。


しかし、ひかるは千裕とセルジュのことが気になって、前もって琴美にパーティーに出るかどうかをきいていました。


琴美はパリでの中心的存在なので、当然出席するとのことで、ひかるが参加したいとお願いすると、喜んでパーティードレスまで用意してくれたのでした。




「ひかるのフィアンセってすごいね。チーフに負けず劣らずな腕だったんだ。」

ルーイは驚きと感動で目を輝かせていました。

「千裕様は勉強も資格も飛び級でいっちゃうから、私にはさっぱり・・・」


「で、どうしてひかるは千裕に習わないの?」


「それは・・・なんかね、自分で教えたら・・・」


「どうしたの?自分で教えたらどうなの?」


「あのね・・・かわいいからみんな合格にしちゃうだろ。だって・・・。」


ルーイ、クリス、ミロ、カールは一斉に後ろを向いてしまいました。


「やだ・・・みんなぁ・・・」



そして、ひかるたちが笑っている間には、セルジュが千裕に挨拶していました。


「明日、助手を務めさせていただきます。よろしくお願いします。」


「腕はもう大丈夫なのかい?」


「ええ。もう痛みもぜんぜんないし、忙しくても動きます。
ところで・・・ひかるは明日は?」



「なんか琴美さんといっしょに食べにくるって言ってたけど。
琴美さんに高級なドレスを買ってもらったって言ってたから、仕事中、見とれてんじゃね~~ぞ。」


「仕事中はそんなことは・・・あなたこそ、仕事をおっぽり出して、財界人側に都合よく行ってしまわないでくださいよ。」


「引き受けた仕事はきちんとやる主義なんでね。
ま、俺も仕事であんたとやりあう気はないから、明日はよろしく頼む。」